地絡と漏電のように、過電流と短絡も使い分けが難しい言葉です。
それぞれの定義と意味の違いを解説していきましょう。
短絡
短絡とは、電気回路の2点が低い抵抗値で電気的に繋がってしまう事です。
英語ではショートサーキットと呼ばれており、その名の通り電気が近道してしまう回路のことです。
抵抗が非常に低い2点が繋がってしまうと、本来電気エネルギーを使って仕事をするはずの負荷がいない状態になってしまいます。すると負荷で消費されるはずの電流は行き場を失って熱エネルギーに変換され、ジュール熱となって回路を焼き切ります。
これが短絡と呼ばれる現象です。
では、どれくらいのエネルギーが発生するのでしょうか。
オームの法則を思い出してみると、もっと具体的なイメージがわきます。
電流 = 電圧 ÷ 抵抗
上記がオームの法則です。
100V回路で0.1Ωの銅線で短絡した場合を想定した場合、次のようになります。
電流 = 100V ÷ 0.01
電流 = 1000A
1000Aというのは非常に高い値です。
人が感電で死ぬのは0.1~0.3Aと言われています。人が死ぬ基準値の1万倍の電気エネルギーが発生するわけですから、短絡は非常に危険な現象なんです。
過電流
過電流とは、回路で想定されている以上の電流や、機器が許容できる電流を超えたものを意味します。
例えば、電気の使いすぎでブレーカーが落ちてしまうのも過電流が原因です。
想定以上の電流は短絡と同じように、強いジュール熱を生み出して回路を焼き切ってしまいます。
こうした過電流から回路を守るためのが過電流遮断器、いわゆるブレーカーになります。
短絡と過電流の違い
短絡が発生した場合、巨大な電流が発生します。
これは回路で想定している以上の電流値なので、短絡は過電流に繋がります、と言い切れます。
反対に過電流が発生した場合、必ずしも短絡が発生しているとは言えません。
家庭でドライヤーを複数使った場合、過電流によってブレーカーが落ちてしまいますが、これは短絡とは関係ないからです。
つまり、短絡は必ず過電流を引き起こしますが、過電流は短絡と関係あるとは限らない、というややこしい関係にあるんです。
混同されやすい言葉ですが、同意語ではないので注意が必要です。
以上、短絡と過電流の違いについての説明でした。