スケルトン図を見ていると、並んで設置されている断路器と遮断器。
何故2つも必要なのか、疑問に思ったことはないでしょうか?
今回はこの2つの違いと使い分けを考えるために、まずはアークという現象から解説していきます。
アークとは
通常、電気は金属などに通電し、直接触れなければ感電しません。
これは空気が電気を通しづらいからで、金属と人体の間に空気があるからです。
しかし、電圧が高い場合は本来を電気を通しづらい空気にも通電が発生します。代表的な例は雷です。あれは数十万ボルトの電圧によって、本来は電気が通らない空気中に電流が走る現象です。
ビルのような高圧受電設備では6600Vで電気を受け取ります。この6600Vという電圧は非常に高く、空気は電気を通さないという前提を覆す力を持っています。
遮断機
遮断機とは、電流が流れている状態でも遮断する事ができるスイッチのようなものです。
高圧電流は電流が流れている状態で無理に遮断してしまうと、電気を通しづらい空気中にまで電流が走り、雷のようなアークと呼ばれる火花が発生します。
このアークを消す消弧能力と呼ばれる機能が遮断機には備わっているので、電流が流れている状態でも遮断する事が可能となっています。
具体的には遮断機にアークを抑える油が入っていたり、あるいは真空状態にして火花が飛ばないようにしています。
断路器
断路器とは、電流が流れていない状態の時に電路を物理的に切り離す装置のことです。
断路器は簡単なスイッチのような構造をしていて、遮断機のような消弧能力がないので、高圧電流が流れている時に電路を切り離すとアークが発生し、電気事故に繋がります。
単純な構造なので遮断機より安価で購入できます。
遮断機と断路器の違いと使い分け
大きな違いは次の通りです。
遮断機は高圧電流が流れている状態でもスイッチを切れる。
断路器は高圧電流が流れている状態ではスイッチを切れない。もし切ると電気事故に繋がる。
両者は使用目的が違う上に構造も違っています。
遮断機で負荷電流を切った後、安価な断路器で物理的に電路を切り離し、作業中に電路に電流が流れてこないように二重のセーフティーとして利用するのが一般的です。
第一種電気工事士の問題でも、断路器と遮断機は並んで使用されています。これから受験される方は両者の違いと、セットで運用する事を覚えておきましょう。