ビル管理・ビルメンまとめ

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カテゴリ: 電気

電気エネルギーのロスには電圧降下電力損失の2つがあります。
現場で慣れてきた人ほど基礎的な理論を忘れがちです。
今回は電圧降下と電力損失の違いについて定義から解説していきます。

電圧降下とは
電圧降下とは元の電源電圧が電線の抵抗によって負荷に辿り着いた時には電圧が低下してしまう現象を意味します。
あくまで電圧の低下であり、電流は関係ないところがポイントです。

電力損失とは
電力損失とは、電気エネルギーが本来の目的以外に消費されてしまう現象を意味します。
具体的には、銅線に電流を流すとジュール熱によって銅線の温度が上がります。これは本来の目的以外で電気エネルギーが熱エネルギーに変換されて無駄になってしまっています。これを銅損といいます。
他にも鉄が磁化される時のヒステリシス損など、思わぬ所で電気エネルギーは別のエネルギーに変換されて損失されていきます。

電圧降下と電力損失の違い
電力は電圧✕電流で求められます。
電圧が下がれば、電力も下がります。つまり、電圧降下は電力損失に繋がるということです。
しかし、電力損失は電流の損失によっても発生するため、電圧降下と同じ意味であるとは言えません。
電力損失の小さな分類が電圧降下、という認識が正しいと言えるでしょう。

地絡と漏電のように、過電流と短絡も使い分けが難しい言葉です。
それぞれの定義と意味の違いを解説していきましょう。

短絡
短絡とは、電気回路の2点が低い抵抗値で電気的に繋がってしまう事です。
英語ではショートサーキットと呼ばれており、その名の通り電気が近道してしまう回路のことです。
抵抗が非常に低い2点が繋がってしまうと、本来電気エネルギーを使って仕事をするはずの負荷がいない状態になってしまいます。すると負荷で消費されるはずの電流は行き場を失って熱エネルギーに変換され、ジュール熱となって回路を焼き切ります
これが短絡と呼ばれる現象です。
では、どれくらいのエネルギーが発生するのでしょうか。
オームの法則を思い出してみると、もっと具体的なイメージがわきます。
電流 = 電圧 ÷ 抵抗
上記がオームの法則です。
100V回路0.1Ωの銅線で短絡した場合を想定した場合、次のようになります。
電流 = 100V ÷ 0.01
電流 = 1000A

1000Aというのは非常に高い値です。
人が感電で死ぬのは0.1~0.3Aと言われています。人が死ぬ基準値の1万倍の電気エネルギーが発生するわけですから、短絡は非常に危険な現象なんです。

過電流
過電流とは、回路で想定されている以上の電流や、機器が許容できる電流を超えたものを意味します。
例えば、電気の使いすぎでブレーカーが落ちてしまうのも過電流が原因です。
想定以上の電流は短絡と同じように、強いジュール熱を生み出して回路を焼き切ってしまいます。
こうした過電流から回路を守るためのが過電流遮断器、いわゆるブレーカーになります。

短絡と過電流の違い
短絡が発生した場合、巨大な電流が発生します。
これは回路で想定している以上の電流値なので、短絡は過電流に繋がります、と言い切れます。
反対に過電流が発生した場合、必ずしも短絡が発生しているとは言えません。
家庭でドライヤーを複数使った場合、過電流によってブレーカーが落ちてしまいますが、これは短絡とは関係ないからです。
つまり、短絡は必ず過電流を引き起こしますが、過電流は短絡と関係あるとは限らない、というややこしい関係にあるんです。
混同されやすい言葉ですが、同意語ではないので注意が必要です。
以上、短絡と過電流の違いについての説明でした。

地絡漏電接地の違いを上手く説明する事が出来るでしょうか?
何となく、ぼんやりとした理解をしていませんか?
電気の知識として根本となるそれぞれの定義・意味を確認していきましょう。

地絡
地絡は低圧電路地絡保護指針にて以下のように定義されています。
地絡とは、電路と大地間の絶縁が異常に低下し、アークまたは、導電性物質によって橋絡されたため、電路または、機器の外部に危険な電圧が現れたり、電流が流れる状態をいう。
要約すると絶縁不良を原因とした意図しない電気の漏れ、を意味します。
原因が絶縁不良に限定されているのがポイントです。

漏電
漏えい電流として、JIS C 8201-2-2で次のように定義されています。
絶縁不良がない場合に、設備の充電部から大地に流れる電流
原因が絶縁不良ではない、と指定されているのがポイントです。

地絡と漏電の違い
前項で定義を確認した通り、地絡と漏電の違いは絶縁不良が原因かどうか、だけです。
ただし、これはあくまで定義に則った原理主義的な違いに過ぎません。
現場では地絡と漏電の扱いがごっちゃになっていたり、あるいは反対の意味で使い分けされている事もあります。
厳密には意味が異なるが、ほぼ同意語として用いられる、という認識で問題ないでしょう。

接地
最後に接地の意味を確認しましょう。
接地とは、電路と大地を繋いでおくことです。
大地は非常に抵抗値が低く、絶縁不良によって地絡が発生した場合、地絡電流が抵抗値の低い大地へ逃げてくれるため、人が感電する危険性を少なくする事が出来ます。
地絡が発生した場合の逃げ道を予め作ってやるのが接地と言えます。

クランプメーターとは
クランプメーターは電流を測定するための装置です。
テスターも電流を測定する機能はありますが、クランプメーターの方がより簡単に安全に測定する事ができるため、電流の測定には一般的にクランプメーターが用いられます。
クランプメーターは扱いが容易で事故にも繋がりづらいため、比較的初心者向けの測定装置と言えます。
だからと言って現場で勝手に持ち出す事はせず、必ず先輩に使い方と了承を得てから使いましょう。

クランプメーターの使い方
クランプメーターは先が輪っかのようになっていて、手元のボタンを押すと輪っかが開くようになっています。
電源を入れた後、電線を輪っかの中に入れるだけで電流値が測定できます。
もし電流値が正しく測定出来ない場合、次のような可能性が考えられます。

・電池切れ
・電流値の大きさが合っていない
・電流が来ていない


電池切れの場合は、クランプメーターに合った新しい乾電池に交換して下さい。
電流値の大きさがあっていない場合、クランプメーターのツマミ等で測定する電流値の大きさに収まるような測定範囲を設定してください。設定より大きな電流値は測定する事が出来ません。
最後に電流値が0の場合は、電流そのものが来ていない可能性があります。検電器などで電気が来ているか調べましょう。

クランプメーターは電流を測定する装置ですが、それを利用して漏電を追う事が可能です。
また別の記事で詳しく書いていこうと思います。

電気は非常に高い電圧で分配した後、わざわざ小さく変圧してから使います。
加えて電気は交流で分配した後、実際の機器で使う場合は殆どを直流に変換して使います。
何故、送電は初めから直流の低圧で分配しないのでしょうか?
ここでは送電の仕組みと役割について解説していきます。

送電の流れ
送電は一般的に次のような流れで実施されます。

発電所 ⇛ 超高圧発電所 ⇛ 一次変電所 ⇛ 中間変電所 ⇛ 配電用変電所 ⇛ 柱上変圧器 ⇛ 一般住宅

そして電圧は次のように変圧されていきます。
発電所:50万V~27万5000V
超高圧変電所:15万4000V
一次変電所:6万6000V
中間変電所:2万2000V
配電用変電所:6600V
柱上変圧器:200V~100V

このように末端に行くにつれて、徐々に小さな電圧に変圧されていきます。
これが一般的な送電の流れです。

高い電圧で送る理由
電気を初めから低い電圧で送らない理由は、電気エネルギーの効率に原因があるからです。
電流は電気抵抗によって、エネルギーの一部がジュール熱に変換されてしまう特性があります。
熱エネルギーには空気中に逃げていって有効には使えず、無駄なエネルギーの損失となってしまうんです。
そして、電流は大きければ大きいほどジュール熱に変換されやすい、という特性があるのです。
具体的には、熱エネルギーとして損失する割合は電流の二乗の大きさに比例します。
こうしたエネルギー損失を抑える為、電流を小さくして電圧を大きくしてやる必要があるのです。電力は電流と電圧の掛け算で決まるので、電圧を大きくした分だけ電流は小さく出来ます。
これがわざわざ高い電圧で送電する理由です。

電気を交流で送る理由
前項で、電気は電流が高いほど熱エネルギーに変換されてしまう事を解説しました。
電気を効率よく送るためには、電流を弱くするために高い電圧で送るしかないんです。
そして、送電に交流を使う理由はその高圧を用いている事が原因になっています。
結論から言うと、直流より交流の方が変圧が簡単に出来るんです。
電気エネルギーを効率よくするためには高圧を使う必要があり、高圧を使いやすい低圧に簡単に変圧するには交流である必要があったのです。
よって私たち人間社会は送電で使う交流の高圧と、実際に消費する低圧の直流という一見すると矛盾する送電システムを構築する事になったのでした。

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