ビル管理・ビルメンまとめ

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カテゴリ: 給排水

トイレの洗面台や給湯室など、ビルの水場にはお湯を出すための給湯器が置かれています。
この給湯器を点検する上で必ず出てくる「逃がし弁」の役割と機能をしっかりとご存知でしょうか。
給湯器は殆どのビルで使われている設備であり、点検項目として必ずあがる逃がし弁はビルメンを上で必須となる知識です。
まずは逃がし弁は何のためにつけられているのか、その理由から見ていきましょう。

温度と体積
気体や液体は、温度があがると体積が膨張する性質があります。
給湯器やボイラーはタンク内の水を温める装置なので、密閉されたタンク内で水のどんどん体積が上昇します。
膨張した水によって内部の圧力が上がり続けるとタンクが破損し、熱湯が飛散する危険性があります。
これを避けるため内部の圧力を一定に保つ必要が出てきました。
逃し弁はタンク内で膨張した水を外に排出する弁で、タンクの破損を事前に防ぎます。

逃し弁の構造と役割
普段は弁が閉じた状態で、タンク内部の密閉状態を保ちます。
入口側の圧力が高まることによって弁が開き、内部の液体を外に排出します。
入口側の圧力が一定以下に下がると弁が閉じ、元の密閉状態に戻ります。

逃し弁の動作試験
もし逃し弁が壊れると給湯器などのタンクが破損する恐れがあるので、多くのメーカーは月に一度の点検を推奨しています、
逃し弁が開いて中の温水が排出されることを確認したら、必ず弁が閉じるのを確認しましょう
もし弁が開いた状態のままになると、次の点検まで水が流れっぱなしになります。

安全弁と逃し弁の違い
安全弁は主に蒸気や気体に対して使われ、逃し弁は主に液体に対して使われます。
ともに内部の圧力を外に逃がすもので、役割は一緒です。
現場によっては安全弁と逃し弁の呼称が特に区別されないことも多いです。

シールとは
液体や気体が外部に漏れたり、反対に外部からの雨水等が侵入しないようにする部品や素材の事です。
つまり、密閉性を高めるために部品の間に挟まっているようなパーツです。
シールは大別して2種類があります。
①ガスケット
 ボルト等で固定されているシールのこと。
 フランジの間で中からの水漏れを防ぐために使われているのが代表的。
②パッキン
 往復運動部分などで使われているシールのこと。
 蛇口で使われているゴムパッキン等がこれです。

ゴムの寿命
パッキン等で使われているゴムは寿命があります。
素材にもよりますが約10年で弾性がなくなり、水漏れ等が発生します。
永続的に使える素材ではなく、消耗品であるという認識が必要です。
ゴムパッキンが使われているあらゆる場所は、ゴムの劣化による水漏れの危険性があります。
窓サッシなどのパッキンも劣化があり、テナント様の内部で外から雨が侵入してくるといった重大クレームに繋がる場合もあります。

シールテープについて
シールテープとは水道管等の繋ぎ目に巻いて水漏れを防ぐテープの事です。
金属と金属を繋ぐ合わせただけでは、細かな傷などから水が漏れ出すので、こういった弾力性を持つものをネジを切った部分に巻く事で密封性を高めます。
シールテープは安価で小さいため、どこの現場でも用意されていると思います。

シールテープの使い方・巻き方
圧力計等の交換時、シールテープが必要になってきます。
シールテープを巻く時は、ねじ込む方向に巻く必要があります。方向を合わせないとねじ込んだ際にシールテープがぐちゃぐちゃになるからです。
ネジを時計回りに回すなら、シールテープも時計回りに巻いていきます。
ねじこむ側のネジは1山ほどだけ金属部分を露出した状態にして、2山目から2~3周回します。
最後はシールテープを切った後、ネジに馴染むように指で軽く押さえていきます。


硬度
水中に含まれるカルシウムやマグネシウムの量を示す尺度のこと。
1リットルに1mg炭酸カルシウムがあれば1度と表現する。

硬水
カルシウムとマグネシウムをたくさん含んでいる水のこと。
ボイラー等でスケール(水垢)の原因になる

軟水
カルシウムとマグネシウムが少ない水のこと。

簡易専用水道
高置水槽や受水槽のことような貯水設備のうち、10立方メートルを超える容量のもの。
この10立方メートルの基準を満たしている場合、水質検査や貯水槽の清掃が義務付けられる。

残留塩素測定
通常、水道水は塩素による消毒を行っている。
実際に蛇口から出る末端の水にどれだけ塩素が残っているか測定すること。
基準として遊離残留塩素が0.1mg/L以上あれば良い。
ただし、病原体による汚染の恐れがある場合は0.2mg/Lと定められている。

量水器
いわゆる水道メーターのこと。
使用した水の量を計測する。

高置水槽方式
水を各部屋に送る方式の一つ。
ポンプで屋上等に設置している高置水槽に水を送り、そこから下り管によって各部屋に重力によって送水する。
停電等でポンプが止まっても、高置水槽に残っている分の水は重量でそれぞれの部屋に給水されるため、災害時でも暫くの間は水が使える。

ポンプ直送方式
水を各部屋に送る方式の一つ。
地下室等の受水槽から、ポンプで直接それぞれの部屋に送り込む。
停電等でポンプが止まった場合、すぐに断水状態となる。

オーバーフロー管
水位が一定を超えた場合、水が溢れないように排水する横穴。
一般家庭でも浴槽や洗面台等にほぼついている。受水槽、消火補給水槽など、給水装置が壊れた場合の保険としてついている。

ボールタップとは
ボールタップとは水面の水位を監視して自動で給水と止水を繰り返す装置のことです。
トイレや受水槽、消火補給水槽など、自動で水位をコントロールする必要がある設備で使われています。
ビルの設備では必ずと言って良いほど使われているメジャーな装置です。

ボールタップの構造
ボールタップは名前の通り、水に浮くボールと水道の蛇口が組み合わさったものです。
水に浮きやすい玉と蛇口の弁を金属の棒で繋げている事で、水位の変化がボールから蛇口に伝わり、自動で給水と止水を繰り返します。

ボールタップの動作
具体的な動作は次の通りになります。

①水位が下がり、ボールが下がる
②ボールと蛇口を繋げている間の金属棒の角度が垂直に近くなる
③金属棒と連動した蛇口の弁が開き、給水管から水が流れる
④水位が上がり、浮いているボールの位置も上がる
⑤ボールと蛇口を繋げている間の金属棒が水平に近くなり、連動して蛇口の弁が閉じる
ボールタップ図

ボールタップの点検方法
ボールタップを上から抑えて水に沈め、擬似的に水位が下がった状態を再現します。
給水管から水が出ればボールタップが正常に機能している事が分かります。

電極棒とは
水面の水位を監視する装置です。
一定の水位を下回ると減水警報を出したり、一定の水位以上になると満水警報を出したりします。
受水槽や消火補給水槽など給水が自動で行われる設備で、異常を検知するために付けられる事が多いです。
ビルの設備では必ずと言っていいほど使われているメジャーな装置です。

電極棒の構造
受水槽や補給水槽などで、上部から複数の金属棒がぶら下がっています。そして、これらの複数の金属棒は長さが異なっています。
一番長いコモンと呼ばれる金属棒は常に水に浸かるような長さになっており、満水警報を出したい位置に一番短い金属棒があります。
これらの金属棒は人が感電しないような微弱な電気を出しており、それぞれの金属棒が水に浸かる事によって通電して、水がその高さに来たのだと認識します。

ボールタップの仕組み
電極棒3つがあったとします。一番長いコモンをA、次にB、Cとそれぞれ名付けます。
次の図のような場合、AとBは水を介して通電しているため、Bまでは水が来ているがCの満水の水位には達していない、という事がわかります。
もし水位が上昇してCの電極棒が水に浸った場合、満水警報を出せばいいわけです。
逆にBまで水が来なくなった場合、Bは通電せず信号がなくなりますから、水が減りすぎていると判断して減水警報を出せばいいわけです。
この電極棒を増やせば、数に応じて細かい水位を監視できるようになります。
これが電極棒の構造と仕組みです。
電極棒

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