ビル管理・ビルメンまとめ

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多くのビルメンは毎日毎日、電力量とデマンドを記録しています。
日課とも言える検針業務ですが、何故デマンドを毎日記録しているのか、その理由を後輩にちゃんと説明する事が出来るでしょうか?
今回は契約電力とデマンド管理について解説していきます。

デマンドとは?
デマンドとは、電気の使用量の最大値を表したものです。
厳密には30分間の電力を平均化しているため、ほんの一秒だけ使用量が跳ね上がっても残りの30分で平均化され、そこまで極端な変化が起きる事はありません。
電気メーターの検針に向かった時に殆ど同じデマンド値が表示されているのは、デマンドが更新されていない(抜かれていない)からです。
では、何故私達ビルメンはこの変わり映えのしないデマンド値を毎日毎日記録しているのでしょうか?
このデマンド値が電力会社との契約電力を超えると、次のようなデメリットが発生するからなんです。

・契約電力を超えた分だけ、電気の基本料金が上がる
・上がった基本料金は暫く下げる事が出来ない


1kw超えるだけで、上記のようなデメリットが発生します。
ビルを運営する上で、固定費である電気の基本料を抑えるのは当然の戦略で、ビルメンはデマンドが契約電力を超えないように日々デマンドを記録していたのです。

デマンド管理・デマンド制御
前項ではデマンドが契約電力を超えると基本料金が上がる上に暫く元に戻せないという事を学びました。
金銭的な打撃を受けるのであれば、デマンドを記録するだけでは意味がありません。デマンドが契約電力を超えそうならば、超えないように使用電力を抑えてあげる必要があります。
電灯を消したりしても効果は薄いので、200V回路の換気設備などを停止させるのが一般的です。
こうしたデマンドをコントロールする事をデマンド管理と言います。デマンド管理はどのような現場でも共通するビルメンの大事な仕事です。
また人力での操作には限界があるので、デマンドに応じて自動的に省エネ運転するような制御をデマンド制御と呼びます。
ビルメンは設備の維持だけではなく、こうしたエネルギーの管理を行う事がとても重要です。デマンド管理が杜撰だとオーナー様の信頼を失ってしまいますので、毎日しっかりデマンドを記録しましょう!

電気は非常に高い電圧で分配した後、わざわざ小さく変圧してから使います。
加えて電気は交流で分配した後、実際の機器で使う場合は殆どを直流に変換して使います。
何故、送電は初めから直流の低圧で分配しないのでしょうか?
ここでは送電の仕組みと役割について解説していきます。

送電の流れ
送電は一般的に次のような流れで実施されます。

発電所 ⇛ 超高圧発電所 ⇛ 一次変電所 ⇛ 中間変電所 ⇛ 配電用変電所 ⇛ 柱上変圧器 ⇛ 一般住宅

そして電圧は次のように変圧されていきます。
発電所:50万V~27万5000V
超高圧変電所:15万4000V
一次変電所:6万6000V
中間変電所:2万2000V
配電用変電所:6600V
柱上変圧器:200V~100V

このように末端に行くにつれて、徐々に小さな電圧に変圧されていきます。
これが一般的な送電の流れです。

高い電圧で送る理由
電気を初めから低い電圧で送らない理由は、電気エネルギーの効率に原因があるからです。
電流は電気抵抗によって、エネルギーの一部がジュール熱に変換されてしまう特性があります。
熱エネルギーには空気中に逃げていって有効には使えず、無駄なエネルギーの損失となってしまうんです。
そして、電流は大きければ大きいほどジュール熱に変換されやすい、という特性があるのです。
具体的には、熱エネルギーとして損失する割合は電流の二乗の大きさに比例します。
こうしたエネルギー損失を抑える為、電流を小さくして電圧を大きくしてやる必要があるのです。電力は電流と電圧の掛け算で決まるので、電圧を大きくした分だけ電流は小さく出来ます。
これがわざわざ高い電圧で送電する理由です。

電気を交流で送る理由
前項で、電気は電流が高いほど熱エネルギーに変換されてしまう事を解説しました。
電気を効率よく送るためには、電流を弱くするために高い電圧で送るしかないんです。
そして、送電に交流を使う理由はその高圧を用いている事が原因になっています。
結論から言うと、直流より交流の方が変圧が簡単に出来るんです。
電気エネルギーを効率よくするためには高圧を使う必要があり、高圧を使いやすい低圧に簡単に変圧するには交流である必要があったのです。
よって私たち人間社会は送電で使う交流の高圧と、実際に消費する低圧の直流という一見すると矛盾する送電システムを構築する事になったのでした。

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