ビル管理・ビルメンまとめ

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AHU(エアハンドリングユニット)、通称エアハンはビルでよく使われていますが、一般家庭では絶対に使われていません。皆さんの家にあるのはパッケージエアコン(PAC)です。
AHU(エアハン)と家庭用のエアコンは一体何が違って、どういう使い分けをしているのか。今回はその違いや仕組みについて解説していきます。

そもそもエアコンとは?
エアコンは冷房や暖房など、室内の空気の温度を操作するための機械です。
室内に室内機と、ベランダや屋上に設置している室外機が1セットになっていて、室内機と室外機は冷媒管と呼ばれるホースのような物で物理的に繋がっています。
冷媒管の中には冷媒(れいばい)と呼ばれる、冷やすための物質が通っていて、これが室内機と室外機をぐるぐる回って、室内の熱を外に吐き出す仕組みになっています。
という事は、室内機に相当するだけの室外機が必要、という事になってきます。そして、室内機と室外機を繋ぐ冷媒管も、その数だけ必要になってきます。100室あって全てのパッケージエアコンを設置しているビルだと、屋上等に同じ規模の室外機を並べないといけません。
汎用的で安価ですが、室外機の場所を多くとる。これがパッケージエアコンの欠点です。大型ビルでパッケージエアコンが採用されづらい理由でもあります。

AHUとは?
AHUは空調機の一つで、エアコンと同様に室内の温度を操作する事ができます。
冷水や温水を作り出す熱源装置から配管を引っ張ってきて、その配管をコイルと呼ばれる細いグネグネしたものにし、そこにファンで風を送る事によって冷たい空気や温かい空気を室内に送り出す仕組みになっています。
室外機が不要ですが、冷水や温水を送り出す一つの巨大な熱源装置が必要になります。この熱源装置は通常、ビルの地下などに設置されます。

PAC(通常のエアコン)とAHU(エアハン)の違いと使い分け
2つの仕組みを解説してきましたが、ここで違いをまとめてみましょう。
エアコンは室内機だけでなく、それとセットになる室外機が必要です。多数の室内機が必要な大型ビルでは、室外機が数百単位で必要になってきて、その置き場所に困る事になります。
その代わり、エアコンは一つ一つが独立しているので、一つの部屋で空調トラブルが発生しても、他の部屋は問題なく使う事ができます。
それに比べてAHU(エアハン)は巨大な熱源装置を一つか二つ地下に置くだけで機能し、他に場所を取りません。冷水や温水を送り出すだけなので構造も簡単です。
しかし、大本となる熱源装置が壊れれば冷水や温水をAHUに送る事が出来ず、ビル全体の空調が機能を失う事態にもなります。
エアコンとAHU(エアハン)はどちらが優れているというわけではなく、ビルの規模や目的に応じた選択が必要になってきます。

ビルは密閉された空間なので外から酸素を取り入れたり、二酸化炭素を外に排気する換気設備が必須になります。
換気方法には3つの種類があり、これらはビル管の試験にも登場します。
それぞれの違いとポイントを抑えておきましょう。

第一種換気法
給気・排気ともに送風機と排風機を利用する換気方法です。
外から取り入れるのも、外に吐き出すのも機械を使うので常に新鮮な空気を維持する事ができます。
映画館など、人が多く集まる場所で使用されています。

第二種換気法
給気のみ送風機を使い、排気は機械を使わない換気方法です。
外から空気が入ってくるので室内の圧力が高くなり、自然と外に排気される形になります。

第三種換気法
排気のみ排風機を使い、給気には機械を使わない換気方法です。
外に空気を出し続けるため室内の圧力が低くなり、自然と外から給気される形になります。
トイレや台所のような臭いが発生する場所でよく使われます。
湿気が籠もりやすい風呂場でもよく見かけます。

冷暖房の仕組み
冷房や暖房のような空調の仕組みをご存知でしょうか?
建物内の空調管理はビルメンの基本的な業務の一つです。
空調管理は最もクレームに繋がりやすい分野なので、まずは冷暖房の仕組みについて噛み砕いて解説していきます。

熱交換について
まずは熱交換の意味について解説します。
熱交換とは、その名の通り熱い物と冷たい物が接触した場合に熱が交換される現象の事です。
例えば、冷たい水の入ったコップとお湯の入ったコップをくっつけて並べてみます。するとお湯の入ったコップから冷たいコップに熱が移動し、放っておけば2つのコップはどっちもぬるい温度になります。
同じ事が空気中でも起こります。冷たい水の入ったコップに風を当てれば、コップの水はぬるくなりますが、冷たい風が生まれます。
これを利用して、冷水の入った配管にファンで風を送ると、配管にあたった風が冷たくなって出てきます。これが冷房の原理です。反対に温水の入った配管にファンで風を送ってやれば、温かい風が出てきます。配管の中を通る水を冷水や温水に切り替えるだけで冷暖房の切り替えが可能になります。

冷暖房の基本的な構造
冷暖房は前項で説明したように、配管に風を当てて空気の温度を変えるという簡単な仕組みで出来ています。
これを実行するには次の3つのパーツが必要です。

①熱コイル
②ファン
③フィルター

熱コイルとは、冷温水が運ばれてくる配管を効率的にしたものです。
太い1つの配管に風を当てるだけでは熱交換の効率が悪いため、空気に触れる表面積が増えるように工夫されています。具体的には配管を細くしたものをじぐざぐに並べ、フィンと呼ばれる羽のようなものがつけられています。

次にファンとは、扇風機のような風を送る回転体の事です。
このファンで風を熱コイルに送っていく事で、冷温風を室内に出します。

最後にフィルターは余計な物がファンや熱コイルに絡まないようにする為のものです。長時間使用していれば誇りが熱コイルに詰まって効率が悪くなるため、風の入り口にフィルターを設置して空気をろ過します。

空調機は上記の3つのパーツで成り立っています。
熱コイルに通る温水や冷水は、ボイラーや冷凍機、吸収式冷温水発生機などと呼ばれる機械で一斉に作られ、各フロアのAHUやFCUと呼ばれる空調機に運ばれて利用されます。
家庭で使われているようなパッケージエアコンでは、冷水や温水の代わりに代替フロンなどが利用されています。



セルシウス温度

私達が日常的に気温等で使っている温度の尺度。
1気圧の前提において、氷が解ける温度を0度、水が沸騰する温度を100度と定義している。

ケルビン温度
私達が日常的に使うことがない温度の尺度。
絶対温度とも言う。
原子、分子の熱運動がゼロの状態を0kと定義している。
つまり、マイナスの温度が存在しない。
0k=-273.15度。

湿度
空気中に含まれる水蒸気の量を示す尺度

相対湿度
私達が日常的に天気予報等で使っている湿度の尺度。
単に湿度と言う場合はこの相対湿度を意味する。
水蒸気の上限は温度によって変化し、その含める事ができる上限に対して何%の水蒸気が存在しているかを意味する。

絶対湿度
私達が日常的に使わない湿度の尺度。
水蒸気が空気中に含まれる上限は温度によって変化するが、その変化を考慮せず単純に水の量をグラムで表現したもの

結露
空気中に含まれる水蒸気が水になること。

露点温度
空気を冷却した時に、水蒸気が凝縮して結露し始める温度のこと。

ボイラー
温水を作り出す設備。
作り出した温水を建物内に送って暖房として利用する。

冷凍機
冷水を作り出す設備。
作り出した冷水を建物内に送って冷房として利用する。

吸収式冷温水発生機
温水と冷水を作りだし、切り替えができる設備。
作り出した温水や冷水を建物内に送って冷暖房として利用する。

AHU(エアハンドリングユニット)
送風機、フィルター、コイル、加湿装置などをセットにした空調設備。
エアハン、とも呼ばれる。
ボイラーや冷凍機で作り出された冷温水はここへ送られ、冷温水の入った配管に外気を当て、外気を適した温度に調整して室内に送り出していく。

ファンコイルユニット
送風機、フィルター、コイルなどがセットになった空調設備。
AHUと似ているが、AHUは外気を調整するのに対し、こちらは室内で取り込んだ空気を冷暖させて更に出すだけで、給気能力がない。
通常、窓際に設置されてAHUの補助として利用される。

ダンパー
ダクト内に設けられた風量調節や分岐調整の設備。

防火ダンパー
火災時、ダクトを閉鎖して延焼を防ぐ。




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