ビル管理・ビルメンまとめ

未経験者向けの転職情報から現在ビルメンとして働き始めたばかりの方向けの情報まで幅広くまとめています。

タグ:電気

抵抗(レジスタンス)、リアクタンス、インピーダンスは単位が全てΩ(オーム)です。
この3つの違いについてちゃんと説明する事ができるでしょうか?
それぞれの定義から、この3つを比較して違いをわかりやすく解説します。

抵抗
抵抗とは、電気の流れづらさを示す尺度です。単位はΩ(オーム)を使います。数式では記号Rになります。レジスタンスとも呼ばれます。
あらゆる物質は電気抵抗を持っており、抵抗がゼロの物質はありません。電線の素材に使われる銅でも小さいながら抵抗を持っていますし、抵抗が大きいゴムなどは感電しないように電線の外側に使われます。

リアクタンス
リアクタンスとは、交流の抵抗成分のことです。単位は抵抗と同じようにΩ(オーム)を使います。数式では記号Xとして抵抗Rと区別します。
直流ではコイルやコンデンサ等の影響を受けませんが、交流ではコイルやコンデンサの成分が影響を及びます。そのため、交流の抵抗成分はリアクタンスと名前をつけて通常の抵抗成分と区別する必要がある為に生まれた概念です。

インピーダンス
インピーダンスとは、抵抗(レジスタンス)とリアクタンスを全てひっくるめたものです。
単位は抵抗と同じようにΩ(オーム)を使います。数式では記号Zとして抵抗Rと区別します。

抵抗、インピーダンス、リアクタンスの違い
3つの定義を確認した上で最後に違いを比較してみましょう。
抵抗Rは直流交流に関係ない抵抗成分
リアクタンスXは交流におけるコイルやコンデンサの抵抗成分
インピーダンスZは抵抗RとリアクタンスXを合わせた全ての抵抗成分。

あるいはこう言いかえる事も出来ます。
電気の通りづらさを総称してインピーダンスと呼び、そのうち交流の抵抗成分をリアクタンス、それ以外を抵抗(レジスタンス)と用途によって使い分けているとも。

全て電気の流れづらさを示す上に単位がΩでややこしいですが、それぞれの意味を比較すると違いが整理できます。
以上、抵抗とインピーダンス、リアクタンスの違いでした。

VAとかKVAという電気の単位を見たことがないでしょうか?
学校で習った覚えもないのに仕事で突然出てくる謎の単位です。
このVAという単位は、私達ビルメンが毎日のように記録している力率と密接な関係にあります。
このページではW(ワット)と似たような使い方をされるVAについて、その定義、意味、違いを解説していきます。

VAとは?
皮相電力の単位で、ボルトアンペアと呼びます。
皮相電力とは何かご存知ですか?
電力には実際に仕事をする「有効電力」と、仕事をしない「無効電力」の2種類があります。
皮相電力はこの「有効電力」と「無効電力」を合わせたものなんです。
仕事をするしないに関わらず、発生してる電力を皮相電力と呼び、VA(ボルトアンペア)の単位をつけます。
KVAはキロボルトアンペアの事で、VAの1000倍の値を意味します。

Wとは?
消費電力の単位で、ワットと呼びます。
ドライヤーなどの電気機器で実際に仕事をする(消費する)有効電力の大きさを意味します。
一般的な家電の説明書で使われていて、VAよりも馴染み深い単位ですよね。
KWとはキロワットの事で、Wの1000倍の値を意味します。

VAとWの違い
もう一度定義をおさらいしましょう。
Wは実際に仕事をする有効電力の単位です。
VAは有効電力に加えて、実際は仕事をしていない無効電力も加えた単位です。
大きさとしては無効電力を含んでいるVAの方がWより大きくなります
そしてVAとWの違いは力率によって決定されます。
力率が100%ならば、無効電力はゼロになるのでVAとWは同じ値になります。
力率が90%ならば、無効電力は10%分だけ発生しているため、VAが10%余分に大きくなります。
VAとWが離れているほど、無駄な無効電力が大きく発生している事になります。
これがVAとWの違いであり、私達が力率を監視、記録する理由となります。

多くのビルメンは毎日毎日、電力量とデマンドを記録しています。
日課とも言える検針業務ですが、何故デマンドを毎日記録しているのか、その理由を後輩にちゃんと説明する事が出来るでしょうか?
今回は契約電力とデマンド管理について解説していきます。

デマンドとは?
デマンドとは、電気の使用量の最大値を表したものです。
厳密には30分間の電力を平均化しているため、ほんの一秒だけ使用量が跳ね上がっても残りの30分で平均化され、そこまで極端な変化が起きる事はありません。
電気メーターの検針に向かった時に殆ど同じデマンド値が表示されているのは、デマンドが更新されていない(抜かれていない)からです。
では、何故私達ビルメンはこの変わり映えのしないデマンド値を毎日毎日記録しているのでしょうか?
このデマンド値が電力会社との契約電力を超えると、次のようなデメリットが発生するからなんです。

・契約電力を超えた分だけ、電気の基本料金が上がる
・上がった基本料金は暫く下げる事が出来ない


1kw超えるだけで、上記のようなデメリットが発生します。
ビルを運営する上で、固定費である電気の基本料を抑えるのは当然の戦略で、ビルメンはデマンドが契約電力を超えないように日々デマンドを記録していたのです。

デマンド管理・デマンド制御
前項ではデマンドが契約電力を超えると基本料金が上がる上に暫く元に戻せないという事を学びました。
金銭的な打撃を受けるのであれば、デマンドを記録するだけでは意味がありません。デマンドが契約電力を超えそうならば、超えないように使用電力を抑えてあげる必要があります。
電灯を消したりしても効果は薄いので、200V回路の換気設備などを停止させるのが一般的です。
こうしたデマンドをコントロールする事をデマンド管理と言います。デマンド管理はどのような現場でも共通するビルメンの大事な仕事です。
また人力での操作には限界があるので、デマンドに応じて自動的に省エネ運転するような制御をデマンド制御と呼びます。
ビルメンは設備の維持だけではなく、こうしたエネルギーの管理を行う事がとても重要です。デマンド管理が杜撰だとオーナー様の信頼を失ってしまいますので、毎日しっかりデマンドを記録しましょう!

過電流遮断器、配線用遮断器、漏電遮断器。これら3つの遮断器の違いについてちゃんと説明できますか?
まずは1つずつ定義や意味を解説していき、その違いについて説明します。

過電流遮断器
配線用遮断器とは、設定した電流値を超えると自動的に回路を遮断する装置のことです。
ヒューズのような使い切りの装置も、過電流を遮断するので過電流遮断器になります。

配線用遮断器
配線用遮断器とは、いわゆるブレーカーを意味します。
設定した電流値と時間を超えると自動的に回路を遮断します。
単なるヒューズは過電流遮断器であって、配線用遮断器とは呼びません

漏電遮断器
漏電遮断器とは、漏電を感知し設定した値を超えると自動的に回路を遮断する装置です。
市販されている漏電遮断器は、一般的に過電流を感知する機能も持っており、配線用遮断器の上位互換となっている事が多いです。
結果的に高価な遮断器になっています。

過電流遮断器と配線用遮断器と漏電遮断器の違い
それぞれの意味を解説してきましたが、ここで違いをまとめてみましょう。
過電流遮断器は過電流を感知する装置全般を意味します。ヒューズ等、含める対象が非常に広いです。
配線用遮断器は過電流遮断器の一種で、ブレーカーを意味します。含める対象がブレーカーのみで狭い定義になっています。
漏電遮断器は漏電を感知する装置ですが、一般的に過電流を遮断する機能もセットで販売されている事からブレーカーの上位互換という扱いになっています。
以上、過電流遮断器と配線用遮断器と漏電遮断器の違いでした。

電気エネルギーのロスには電圧降下電力損失の2つがあります。
現場で慣れてきた人ほど基礎的な理論を忘れがちです。
今回は電圧降下と電力損失の違いについて定義から解説していきます。

電圧降下とは
電圧降下とは元の電源電圧が電線の抵抗によって負荷に辿り着いた時には電圧が低下してしまう現象を意味します。
あくまで電圧の低下であり、電流は関係ないところがポイントです。

電力損失とは
電力損失とは、電気エネルギーが本来の目的以外に消費されてしまう現象を意味します。
具体的には、銅線に電流を流すとジュール熱によって銅線の温度が上がります。これは本来の目的以外で電気エネルギーが熱エネルギーに変換されて無駄になってしまっています。これを銅損といいます。
他にも鉄が磁化される時のヒステリシス損など、思わぬ所で電気エネルギーは別のエネルギーに変換されて損失されていきます。

電圧降下と電力損失の違い
電力は電圧✕電流で求められます。
電圧が下がれば、電力も下がります。つまり、電圧降下は電力損失に繋がるということです。
しかし、電力損失は電流の損失によっても発生するため、電圧降下と同じ意味であるとは言えません。
電力損失の小さな分類が電圧降下、という認識が正しいと言えるでしょう。

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